保険法Q&A
Q1 「共済契約」にも保険法は適用されるのでしょうか?
Answer1
商法に規定されている保険(商法第2編第10章)と実質的に同等の内容を有するものついては、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、保険法は適用されます。
保険法第1章総則第2条(定義)第1号において、「保険契約 保険契約、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付(生命保険契約及び傷害疾病定額保険契約にあっては、金銭の支払に限る。以下「保険給付」という。)を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)を支払うことを約する契約をいう。」と定義されています。
Q2 なぜ、保険法が制定されたのですか?
Answer2
商法の保険に関する規定は、制定後約100年にわたり全面的な見直しが行われていませんでした。こうした状況を踏まえ、また、近年の消費者意識の高まりを反映し、現代社会にあった適切なルールとするため全面的な見直しが行われています。
Q3 「保険業法」と「保険法」とは、どう違うのでしょうか?
Answer3
保険業法は、監督官庁(金融庁)が保険会社、少額短期保険業者、特定保険業者等を監督するルールを定めた法律です。今回の改正では、文言等の変更を除き、保険業法の実質的改正は行われていません。
Q4 商法の保険に関する規定には、すべて保険法に移行するのですか?
Answer4
いいえ。「海上保険」に関する規定は今回の改正の対象外です。また、商法に定められていた「運送保険」に関する規定は、保険法では「損害保険契約」に関する規定に吸収され、削減されています。
Q5 強行規定とされているのは、どのようなことを意味するのでしょう
か?
Answer5
保険法において強行規定とされている規定は、当該規定に反する規定で、共済契約者サイドにとって不利なものは無効とされる、いわゆる、「片面的強行規定」を意味します。したがって、約款や事業規約等の、「強行規定」に反し、かつ、共済契約者サイドに不利なものである場合には、その約款や事業規約等の規定は無効とされます。
Q6 片面的強行規定には適用除外があるのですか?
Answer6
はい、あります。保険法では、海上保険契約や事業活動に伴う損害をてん補する損害保険契約等の一定の類型の損害保険契約または責任保険契約については、片面的強行規定に関する規定の適用が除外されています。
Q7 強行規定ではない「任意規定」については、どのように解釈したら
よいのでしょうか?
Answer7
強行規定に対して、任意規定に反し、かつ、共済契約者サイドに不利な約款や事業規約等の規定の効力を判断するにあたっては、消費者契約法第10条が解釈指針となります。任意規定と解される保険法の規定に反する約款や事業規約等の規定の内容に合理性がなく、かつ、民法第1条第2項に規定する信義則に反して共済契約者サイドの利益を一方的に害すると認められる場合には、当該規定は無効と判断されることとなります。
Q8 保険法はどのような構成になっているのですか?
Answer8
次表の構成になっています。具体的な条文については、こちらをご参照ください。
章構成 | 内容 | 備考 |
第1章 | 総則 | 法の趣旨・用語の定義を定めています。 |
第2章 | 損害保険 | 傷害疾病損害保険契約を含みます。 |
第3章 | 生命保険 | |
第4章 | 傷害疾病定額保険 | 保険法で新設されました。 |
第5章 | 雑則 | 消滅時効期間等について定めています。 |
─ | 附則 | 経過措置について定めています。 |